2014年道東遠征(1月11日〜15日)

                                                                                    今回の遠征で見られた鳥リスト

風景の写真

                                                         鳥の写真(1月11日)    鳥の写真(1月12日)

                鳥の写真(1月13日)   鳥の写真(1月14日)     鳥の写真(1月15日)   

      

 冬の道東の鳥見に出かけました。メンバーは7人。皆さんベテランです。うちカメラマンは私を入れて3人です。

 寒さは厳しいものがありますが、普段見ることができない鳥が期待できそうです。ライファー15アップを目標としましたが、10程度を達成できれば満足できると考えていました。

      一日目(1月11日)

 羽田に朝6時に集合し、女満別空港に目指して出発しました。荷物をできるだけ少なくするため、着られるものはできるだけ着ることにしました。上は半そでシャツの上に長袖のヒートテック2枚、さらにフリース2枚、そして薄いダウンそしてダウンの上着です。下はヒートテックのタイツを3枚とフリースの暖パン、そして一番上は風の通さないオーバーズボンです。空港や機内は暑くて苦労しましたが、現地ではこれで通せました。

  女満別空港の気温はマイナス13度ということでした。空港からバスで網走に向かいます。道路の両側は雪景色です。途中車窓から網走湖を見ることができました。湖面には氷が張っていて、ワカサギ釣りの人を大勢見ることができました。バスは網走駅近くでは有名な網走刑務所のそばを通りました。網走駅でJRに乗り換えです。

  ここから釧網本線で釧路方面に向かいます。北にはオホーツク海が広がります。南に濤沸湖(トウフツコ)、原生花園を見ながら東へ進みます。1時間足らずの乗車で今日の宿泊地の斜里に着きました。ホテルは駅の目の前です。荷物を預け、駅前の道の駅で昼食をとり、斜里港に向かいます。

道路には一面に雪が積もっており、所々滑りやすくなっています。途中、ヒメウなど見ながら進むとベニヒワの群れを見つけました。少し近づいたら、飛んでしまいました。群れを追いながら移動しますが、ベニヒワはそのつど飛んでしまいます。距離がありスコープでやっと見られるくらいです。群れの中にコベニヒワを見た方もいましたが、写真班は手が出ません。そのうちベニヒワの姿が見えなくなってしまいました。

  港の中で水鳥を探します。シノリガモクロガモビロードキンクロスズガモホオジロガモウミアイサなどを見ることができました。カモメ類はほとんどがオオセグロカモメですが、中にワシカモメシロカモメを見ることができました。

  斜里川をはさんだ対岸に小鳥の群れが見えたのでそちらに向かうことにしました。途中カモメの群れを見ながら進むと、女性カメラマンが一人で鳥を撮影しています。良く見るとベニヒワでした。一緒に撮らせてもらうことにしました。メスが1羽で餌採りをしています。初めてのベニヒワで興奮しました。間もなく飛んでしまいましたが、どうにか写真を撮ることができました。

  上空をオオワシオジロワシが飛びました。オジロワシは初めてです。遠くの木に止まったので近くまで独りで追いかけてしまいました。結果的に同行の方に迷惑をかけてしまいました。オジロワシは別のところにも居るという話を聞きました。そこに移動することにしました。そこには、ペアで見ることができました。最後に最初にベニヒワの群れを見つけたポイントに戻りましたが、ベニヒワは居ませんでした。

  4時近くになると日が落ち、薄暗くなってきます。気温もだいぶ下がってきたようで、手なども冷たくなってきました。ホテルに戻ることにしました。

 夕食は外でとることになりました。おいしい海産物を肴にアルコールが進みました。皆さんとの鳥談義にも花が咲きました。  

 

   二日目(1月12日)

 二日目はジャンボタクシーをチャーターし、オホーツク支部の支部長川崎さんに案内をお願いしました。
  8時に出発しました。天気は快晴です。最初に向かうのはオシンコシンの滝です。知床半島の中ほどに位置します。現地に向かう途中では、オオワシオジロワシが飛んでいたり、樹に止まっていたりしました。特に川の近くの樹には多く集まっていました。オシンコシンの滝には間もなく着きました。

  山側の樹には時期によってはクマゲラも来るようですが、ちょうど工事が行われていて何も見られませんでした。海側を見ると沖を海鳥が飛んでいきます。川崎さんがハシブトウミガラスコウミスズメを見つけました。しかし双眼鏡ではまったく歯が立ちません。あの距離で識別できる川崎さんの能力に感心してしまいました。

  そのあとウトロの漁港などを見ながら斜里に戻ります。途中、ベニヒワの群れを見ることができました。しかし、遠くに飛んでしまいました。ベニヒワは写真を撮るには強敵だと感じました。

  次の目的地は昨日行った斜里漁港です。しかし、ここではほとんど成果は上がりませんでした。

  続いて、止別(ヤンベツ)に向かいます。ここではワタリガラスが見られるということです。ワタリガラスはベテランの方でもまだご覧になっていない方も多いという珍しい鳥です。しかし、今年は大きな群れで入っているということです。全部で30〜40羽居るようです。現地に着くと、ワタリガラスは雪面の上や周りの樹にとまっていました。オジロワシや、オオワシトビと一緒に居ました。トビとあまり変わらない大きさです。その大きさである程度識別できます。尾羽が楔上に真ん中で出ているのが特徴で、それも遠くから良くわかります。大変用心深い鳥だということで、離れた場所からの観察になりましたが、上空を飛んだ個体もありました。この場所では、ベニヒワコアカゲラも観察できることもあるということで探しましたが、残念ながら見ることはできませんでした。

  次に網走方面に向かいます。原生花園付近を通っていたときケアシノスリが居ました。写真を撮ろうと外にでたところで飛ばれてしまいました。今年はケアシノスリが多いということです。昼食を牧場レストランでとり、網走に向かいます。 網走港は大きな港でした。シノリガモヒメウのほかに、ハシブトウミガラスを見ることができました。距離があるため写真はうまく撮れませんでした。港を色々回りましたが、あまり成果は上がりませんでした。

  残り時間がだいぶ少なくなり、最後の目的地、能取岬に向かうことになりました。岬ではツメナガホオジロが見れるかもしれないということでした。また、最近まで断崖絶壁の下の海にコケワタガモがいたようですが、最近は見ることができないようです。岬から下の海をみんなで探しましたが、コケワタガモは見つかりませんでした。ここはシノリガモが良く集まる場所のようで、多いときは数千羽になると聞きました。シノリガモに混じって白い鳥がいましたが、全部カモメでした。

  観察の途中から空が暗くなり、雲行きがおかしくなってきました。雪雲が出てきたと聞き、急いで車に戻りました。ツメナガホオジロも見ることができませんでした。一人の方がベニヒワを1羽見ただけでした。

 降ってきた雪は、網走港につくころにはやんでいました。山の上だけだったのかもしれません。途中濤沸湖でタンチョウが見れると聞き、寄りましたが、姿が見えませんでした。宿泊地についた頃には真っ暗となっていました。夕食は昨日と同じ場所でおいしくいただきました。

    三日目(1月13日)

 3日目のスタートは斜里から、根室への移動でした。鉄道を使うため半日がかりです。まずは釧網線で東釧路に向かいます。斜里を出たときは雪が降っていましたが、途中からは青空が出てきました。川湯という場所では屈斜路湖と摩周湖の間を線路は進みます。両方の湖は見ることはできないのですが…。

 雌阿寒岳、雄阿寒岳は遠くに見ることができました。山を越えると雪の量が少なくなりました。太平洋側は降雪量が少ないと聞いていました。釧路に近づいてくると、根釧原野が見えてきました。釧路川で釣りをしている人が見えました。釧路川では川はほとんど凍っていました。斜里付近では川の氷結は見られませんでした。雪の量は少なくても気温は低いのかもしれません。

   東釧路で下車し、昼食もとりました。次に根室本線に乗り換えます。次の下車駅は厚床(アットコ)です。途中、厚岸(アッケシ)湾、厚岸湖を見ながら進み、厚床に無事着きました。到着は1時近くになっていました。斜里を出たのは7時半近くでしたので大変長い行程になりました。

  駅で案内役の高野さんに迎えてもらい、すぐに野付半島に向かいます。ここではシロハヤブサユキホオジロが目標です。ワタリガラスもいるようですが、昨日たくさん見てきているので、パスしました。

 野付半島は砂嘴と呼ばれる地形で細長く、南側に丸まったような形になっています。南側は野付湾で氷結していました。野付半島に入り、途中シロハヤブサを探しましたが見つかりませんでした。ネイチャーセンターでトイレ休憩をし、先に進みます。車では入れるところまで行き、後は徒歩になりました。

   ユキホオジロは半島の先端部にいると聞いていましたので、だいぶ歩かないといけません。風が強く吹いていて、体感温度が低く感じます。機材を持つ手が寒くなってきました。全工程の三分の二程度進んだあたりで、リーダーがユキホオジロを見つけました。

 しかし、すぐに飛んでしまいました。しかし、高野さんがまだ群れの一部が残っているかもしれないので探しましょうといわれました。さすがプロです。ユキホオジロは残っていました。最初は、数羽と思っていたのですが、結果的には18羽いました。最初に飛んだのは6羽でしたので、24羽の群れということになりました。(みなさんの話から最終的には38羽確認できたそうです。)

写真撮影はなかなか難しいものでした。草の陰に隠れてしまい、首の上げ下げが大きく、そのうちシャッターを押す手も凍えてきました。それでもどうにか撮影はすることができました。  目標の鳥に出会えたのでここで戻ることになりました。コクガンウミアイサの群れも飛んでいました。帰りは車中から野付湾側にエゾシカがずらっと並んでいるのを見ることができました。来る時はいなかったのですが…。どこから出てきたのでしょうか。この頃になると陽が沈み始め、西の空が真っ赤になりました。その空を背景にコミミズクが飛んでくれました。  宿泊先に着く頃には真っ暗になっていました。宿泊先は高野さんの民宿です。食事後、落石クルーズのガイドをしている新谷さんの話を聞くことができました。大変ためになる話でした。明日のクルーズが楽しみになりました。  

      四日目(1月14日)

 4日目は二班に別れます。私たちは落石のクルーズに乗ることになっていました。

  しかし、朝から吹雪いています。風が結構強そうです。結局クルーズは中止ということで、明日に延期しました。今日は一緒に行動することになりました。落石クルーズの案内役新谷さんも同行してくれました。

  吹雪いていたので、最初は市民の森のハイドに行くことになりました。ここは風も入らず、快適に鳥見ができます。ハシブトガラシジュウカラゴジュウカラアカゲラコゲラシメミヤマカケスなどが出てきてくれました。しばらくすると雪もやみ、青空が出てきました。

 カモ類など探しに漁港を回ることになりました。最初は花咲港です。ここではコオリガモクロガモなどを見ることができました。尾の長いオスとは久しぶりの出会いでした。  歯舞港にも寄りました。ここでも、コオリガモなどを見ることができました。ワシカモメやシロカモメの成鳥も見るとができました。 そして、次に納沙布岬に行きました。ここではチシマウガラスが見られるかもしれないということでした。チシマウガラスはヒメウと同じ場所で生息していて、嘴が白いヒメウがチシマウガラスと間違われるそうです。最初にそれと思しき個体が岸の岩場から沖合いに飛びました。後姿しか見ることができませんでした。

  岬の先は風が強く、飛ばされそうです。そして、寒さも尋常ではありません。ここにもハイドがありましたので、そこに入って観察することになりました。沖合いにいる海鳥が観察できます。また前方を飛ぶヒメウなども良く見えます。ここにチシマウガラスがいるかもしれません。新谷さんが、沖合いを泳いでいるケイマフリウミガラスなどをスコープに入れてくれ、見せてくれますが、眼の良くない私にはなかなか違いがわかりません。 比較的近くにシロエリオオハムが見えました。かろうじて写真は撮ることができました。

  ここでの観察を終え、チシマウガラスがよくいる岩場に再び向かいました。もうあきらめていたのですが、新谷さんから、いるよとの声が聞こえてきました。体の一部しか見えませんが首を見ることができます。反対側に回ったところ、違う個体が見つかりました。これはヒメウと並んでいて両者の大きさの違いなどが良くわかります。そして、三番目の個体が見つかりました。これは比較的若い個体ということでした。以前、新谷さんから教わった識別ポイントもしっかり確認できました。
 

  最後に温根元のハイドに向かいます。こちらのハイドは4日前にできたばかりだということです。沖に見える岩礁にチシマシギを見ることができることがあるそうです。しかしこの鳥は超強敵です。岩礁までの距離が遠く、姿を見せる時間も数秒レベルだそうです。もちろん写真撮影は無理です。しばらくいましたが、やはりだめでした。

  昔、銚子で見た方がグループで一人いて話が聞けました。新谷さんは千葉の金田湾で見られたと聞きました。今日はガイド役が二人ついてくれて贅沢な鳥見となりました。

 宿に帰り、北海道ならではの海産物をいっぱい食べることができました。食後は、高野さんの案内でシマフクロウの声を聞きに行きました。二ヵ所回っていただいたのですが、残念ながら声は聞こえませんでした。しかし、綺麗な星空と真ん丸の月を見ることができました。

 

   五日目(1月15日)  

 最終日は快晴となりました。落石のクルーズはもちろんです。クルーズに参加するのは私を含めて4名です。落石まで高野さんに送っていただき、そこで他のメンバーと別れました。

 落石クルーズの案内役は昨日同行していただいた新谷さんです。クルーズに参加するのはわれわれのメンバー4名だけです。船には船長とそれを補助する船員そして新谷さん、われわれ4名が乗り組むことになりました。

  港内はほとんど波はありません。出航予定は9時でしたが、メンバーがそろったので、予定時間前に出航しました。出航すると間もなくコオリガモクロガモが現れます。そして新谷さんがオオハムを見つけてくれました。私にとっては初見の鳥です。波がないといっても船は揺れます。フレームに入れるのに手間取りましたが、どうにか写真は撮れました。

  続いて出てくれたのがケイマフリです。まん丸の眼が印象的でした。ケイマフリはごく普通に見ることができるそうです。そのあとはウミガラスが出てくれました。こちらも鳥の特徴をしっかり見ることができました。

  残るのはウミバトコウミスズメです。ウミバトは千島タイプとアリューシャンタイプの2種類がいてここでは千島タイプが多いようです。しかし全体ではアリューシャンタイプが多いという話を事前に新谷さんから伺っていました。そして最初に現れたのは千島タイプのウミバトです。そして、そのあと2タイプのウミバトが同時に出てくれました。

  結局ウミバトは5個体見ることができました。ウミバトがこれほど多く見ることができることはあまり無いそうです。コウミスズメは見ることができませんでしたが、ラッキーでした。

  このほかウミスズメビロードキンクロコクガンなども見ることができ、大きな成果を上げることができました。

 下船後、朝分かれた班と合流し、また高野さんの案内で移動します。落石付近でオジロワシオオワシトビの鷹柱を見ることができました。みな大きな鳥なので迫力満点でした。

  昼食後は霧多布に向かいます。途中の海岸ではハギマシコを探しました。6羽の群れを見つけましたが、飛んでしまいました。海岸には、ハマシギ、ミユビシギがいました。霧多布の岬ではケアシノスリが上空を飛んでくれました。またハギマシコは共同墓地でも見ることができました。  次の向かったのは火散布沼です。ここにはオオハクチョウホオジロガモヒドリガモヨシガモカワアイサなどを見ることができました。そして有終の美を飾ったのはタンチョウでした。以前、士幌町で見たことがあったのですが、今回は写真に収めることができました。

  タンチョウで終わりと思っていたら、最後に、おまけがありました。オジロワシが夕日を浴びながら2羽で絡んでいるシーンも見ることができました。日没になり、鳥見は終了し、車で厚岸の駅まで高野さんに送っていただきました。駅での待ち時間を利用し、荷物の整理を行い、釧路駅まで電車で揺られました。

 釧路から空港まではバスに乗り、羽田には10時前に到着しました。

  7人の団体鳥見でしたが、楽しい時間を過ごすことができました。今回の成果は10種(亜種含めると11種)となりました。同行した皆様そして親切、丁寧にご案内していただいた川崎さん、高野さん、新谷さんのご協力の賜物です。

  皆様に感謝申し上げます。